「血糖値の急上昇」で太るしくみ
「血糖値の急上昇は、肥満を招く」
そんな話を聞いたことがある人は多いと思います。
しかし、なぜ血糖値の急上昇が肥満につながってしまうのか?
その仕組みまでを理解している人は意外に少ないのではないでしょうか。
仕組みを理解することで、より血糖値に対する意識を高めることができます。
今回は、血糖値の急上昇によって肥満が引き起こされる仕組みについて、わかりやすくご説明していきます。
血糖値とは?
まずは血糖値について簡単にご説明します。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の量を表したものです。
食事によって体内に取り込まれた糖質は、胃や腸でブドウ糖へと分解され、血液中に運ばれます。
そこで初めて、血糖値の上昇が起きます。そのため血糖値の上昇のピークは、食事から約1時間後といわれています。
もし食事の内容が、大量の白米や小麦粉、甘いものなど、糖質が多かった場合、大量のブドウ糖が発生するため、血糖値の急上昇につながります。
血糖は活性酸素を生み出す
血液中へと入り込んだブドウ糖ですが、実はそのままにしておくと、血中に活性酸素を生み出してしまいます。
活性酸素は細胞を攻撃し、酸化させてしまうため、血管などがダメージを受け動脈硬化などを引き起こす可能性もあり大変危険な存在です。
また、ブドウ糖は単独ではエネルギーにならないため、一度細胞内へと取り込まれなければエネルギー源として使うことができません。
そのため、血中のブドウ糖は、すみやかに細胞内へと運び込む必要があります。
この時、ブドウ糖を細胞内へと運び込む働きをしてくれるのが、「インスリン」というホルモンです。
インスリンは通常、ブドウ糖を筋肉や内臓の細胞内へと運び込みます。
筋肉や内臓へと運び込まれたブドウ糖は、運動や生命活動のエネルギーとして使われたり、予備のエネルギー源として貯蔵されます。
しかし、ブドウ糖の量が多すぎて筋肉や内臓の細胞だけでは処理しきれない場合、インスリンはブドウ糖を中性脂肪へ変換し、脂肪細胞へ運び込みます。
そのため、糖質を摂りすぎると脂肪細胞へ運ばれる中性脂肪を増やすことになり、脂肪細胞の肥大化を引き起こし、肥満へとつながってしまうのです。
恐怖!血糖値の急上昇がまねく肥満のしくみ
そして、一度に多くの糖質を摂取することによって引き起こされる血糖値の急上昇は、肥満のリスクをさらに大きく高めます。
血糖値の急上昇が起きると、脳は「いそいで血糖値を下げなければ!」と判断し、大量のインスリンを過剰分泌させます。
過剰に分泌されたインスリンは、血中のブドウ糖を過剰に処理してしまうため、脂肪細胞にもどんどん中性脂肪として運び込まれてしまいます。
さらに、血糖値の急上昇のあとには、インスリンの過剰分泌による血糖値の急降下が待っています。
血糖値が急降下すると、今度は脳は「このままだと糖が不足してしまう!」と勘違いし、急激に糖を欲するようになります。非常に強い食欲がわき上がります。
そして、恐ろしいことに、糖を素早く摂取するのにもっとも手っ取り早いのは、甘いものやジャンクフードを食べることなのです…。
血糖値の急上昇を防ぐために
それでは、どのようにしたら、血糖値の急上昇を防ぐことができるでしょうか。
ポイントは3つです。
1.高GIの食品を避ける。
血糖値が上がりやすい食品ほどGI値が高く、逆に血糖値の上昇が少なく緩やかなものほどGI値は低くなります。
高GI食品である小麦粉製品や白米、ジャガイモ、甘いもの等の大量摂取は避け、なるべく低GI食品を中心とした食事を心がけましょう。
2.糖質は最後に食べる。
空腹時には、摂取したものがすぐに分解されてしまうため、いきなり糖質の多いものから食べてしまうと血糖値の急上昇を招きます。
食事の際は、食物繊維やたんぱく質を多く含む野菜やおかずから食べるようにし、糖質の多いものはできるだけ後のほうに食べるようにしましょう。
3.よく噛んでゆっくり食べる。
早食いも、血糖値の急上昇を引き起こします。よく噛んでゆっくり食事することで、血糖値の上昇も緩やかにすることができます。
まとめ
糖質の摂りすぎ、そして血糖値の急上昇が、いかに肥満のリスクを激増させてしまうものかご理解頂けたでしょうか。
食べるものや順番などを意識することで、うまく血糖値のコントロールをして、太りにくい食習慣を身につけていきましょう。